top of page

十条の住宅

敷地面積:74m2(22坪)

​延床面積:118m2(35坪)

構造:木造一部鉄骨造

​その他:低炭素住宅への適合

​撮影:益永研司

古くからの細街路と木造住宅・店舗が集まる地域に建つ、3階建ての木造住宅です。
 

3階建ての建物に囲まれる中で、3階建ての居住空間を確保し、お庭と駐車場を確保することが求められました。

配置計画

配置計画では建物を道路側に寄せ、敷地の奥側に庭を設けています。道路~建物~奥庭という順番に並べられるため、どの部屋にも複数の窓から、しっかりとした通風と採光条件を得られるようになります。


道路斜線については、天空率の検討を行い高さ制限の緩和を受けているため、道路側においてもしっかりと3階部分を計画できます。


建物の各床の高さについては、低くて良い所(水回りや駐車場等)は高さを抑え、高くすると気持ちの良い所(リビングダイニング)は高く計画しています。
高さの異なる部屋を組み合わせると、高くて大きなリビングは全ての部屋や道路と庭に接するようになります。
この接している部分に窓や階段を計画しているため、家全体に陽の光が届き、風が通るようになっています。 

また、大空間を囲む壁は各階を貫く大きな骨組みになっており、繰り返し地震にも強い構造計画となっています。

空調計画
季節ごとの室内環境のために、パッシブデザインを行っています。

暑い季節には風通しのため、 近隣建物の高さより1mほど高い部分に風抜き窓を設けています。
十条地域では、地表から10m程度の高さでは常に風が吹いており、この風を用いて家全体の熱気と湿気を大きく排出します。
高さ10m以下の風の流れについても、シミュレーションを行い、風通しの確認をしています。

寒い季節には、太陽の熱を家全体へ行き渡らせるように計画を行っています。
3階に入って来た太陽熱と室内の暖気を大黒柱のようなダクトによって下階の床下へ吹き降ろしています。 扇風機程度の送風ファンを回すだけで家全体の温度分布を整え、バランス良く蓄熱します。
お住まいになられてからの状況をお伺いすると、良好な結果が得られています。 

詳細計画
室内の仕上げでは、木の温かい仕上げを出せるように、ロ準耐火1という準耐火構造としました。

外壁は1時間の木造耐火性能を持たせる代わりに、室内では木質部分をそのまま仕上げとして見せられるようになります。
階段についても、一般的な準耐火構造の制限からは除外されるため、住宅の雰囲気に相応しい、軽やかな木の構造をそのまま現しています。


外観では、演芸場通り(十条地域の商店街の一つ)の景観の一部になることから、少し枯れた木質の仕上げと、住宅+α(商業やオフィス等の住宅以外の感じ)の雰囲気を持たせるようにしました。


1階は事務所と玄関、2階以上が住居という構成をそのまま屋外素材の切り替えを行い、1階はピリリとクールに引き締め、2階以上は家の温かみが町に滲み出るようにしています。

bottom of page