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荒川グループホーム

敷地面積:160.16m2(48.44坪)

​延床面積:507.81m2(153.61坪)

構造:在来木造

​その他:児童福祉施設、木造4階建て、木造耐火​

都市環境での共同生活援助型グループホームです。

 

住み慣れた地域内で身体に障害のある方々が少人数の共同生活を営むための施設として、東京都および荒川区の計画要綱を満たす事、グループホーム以外にも一時保護や災害時の避難所としての機能、そして建設コストの低減が求められました。

それに加えて、コンセプトとして、共同生活を送るための「ぬくもりのある大きな家」をつくりたいと考え設計を行いました。

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外観を見ています

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​建物模型を真上から見ています

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住居部門のリビングと共用廊下を見ています

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2-3階の住居部門の模型です

​緑色の部分が屋外空間になっています

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共用廊下を反対側から見ています

クランクする廊下空間はベンチなどの家具が置かれ、個々人のサブパーソナルスペースとして機能します

また、様々な方向から自然光や風が入ってきます

配置計画と平面計画

平行四辺形の敷地に対して、真四角の建物を道路に直行して配置しています。2つの大きな庭を確保し、それぞれアプローチ用とプライベート用に割り当てます。

コンセプトである家として成立させるためには、庭のような屋外空間があり、そこに居室が面する事がとても重要なためです。​

ゾーニングでは、1階に管理部門と避難部門、2-3階に住居部門、4階に共用ホールとしました。

2-3階の個室の間にはバルコニーを配してボリュームを分節し、街並みに相応しいスケール感を出しています。最上階の共用ホールは屋根型の天井をそのまま外観へ現し、住宅らしい形状を組み込んでいます。

住居空間と省エネルギー性

家のような空間にするためには、昼の間は自然光で過ごせる事も重要になります。

様々な方向から自然光が入るため、常に時間の経過が感じられ、伸び伸びとした雰囲気になっています。

また、自然光が入るという事は、風も通り抜けます。​

省エネルギー性という観点から、昼間使用電力量の削減や、中間期の冷暖房コストの削減に繋がっています。

自然体で暮らせる家としてはもちろん、これからのあらゆる建築に求められる条件の一つです。

共用廊下の照明を点灯させました

個室と照明を一対で計画し、長屋の様な雰囲気を持たせました

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個室内1:バルコニーや庭側に窓を計画しています

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個室内2:バルコニーの向こうに隣の個室が見えています

スケール感の及ぼす効果と地域への機能

児童福祉施設は、着工前の近隣説明の際に、周辺住民からの建設反対がある場合が多いのも事実です。

対応策の一つとして実施した、街のスケール感に合わせ、住宅らしい形や仕上げ、住宅スケールの窓から生活感を感じさせるための仕掛けは、周辺住民にとっても存在感を柔らげるものとして有効に働きました。

こういった地域に開いたイメージは、一時避難機能とも相性が良く、避難室は地域利用可能な集会室としても使えるようにしています。

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最上階の共用ホール:家形の屋根形状そのままの室内空間

みんなが集まるスペースに相応しい雰囲気とし、同時に建物の高さを抑える役割があります

共用玄関:機能上求められる見通しやセキュリティを満たしながら家庭的な雰囲気をつくるように努めました

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​1階の避難室:近隣住民の集会室としても使います

一部でも、近隣住民の方が使える事は、施設の印象を大きく変える効果があります。また、入居者と動線が交わらないように、独立した出入口をつくっています

建設コストの低減と工事中の近隣配慮

住宅スケールが連続する室内空間かつ、軟弱地盤という設計条件から、地上4階建ての木造耐火構造としました。

間取りと構造体の親和性が高いため、無駄な空間が生じず、鉄骨造やコンクリート造と比較して非常に軽量なため、表層改良で安全性を確保できます。

一般的には、杭工事+鉄骨造もしくはRC造とするところですが、構造種別の選択によって建設コストが大幅に低減します。

また、表層改良+木構造による計画は、建設時だけでなく解体時においても、産業廃棄物量を大幅に削減でき、ライフサイクルコストの低減にも繋がっています。

さらに、廃棄物量が少ないということは、工事中における搬入出車両の数も少なく済み、こういった点も近隣への配慮として有効に働きました。

設計業務について

建て主との打ち合わせや確認申請に関連する一般業務の他に、建設前の説明会業務、都や区との設計協議や審査業務、設計積算業務を行いました。

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